ひとりひとりがより良く生きるために、わたしたちができること。 きのこグループ

認知症専門病院、老人保健施設、グループホーム…きのこグループ公式サイト

書籍・DVD・メディア掲載紹介

認知症について理解を広めるための書籍、メディアでの掲載記事、国際交流などきのこグループの活動の紹介です。

第14回アジア-パシフィック・アルツハイマー学会

「The 14th Asia-Pacific Regional Conference of the Alzheimer`s Disease International」

Thailand Dementia 2011


きのこグループ

社会福祉法人 新生寿会

総社市山手福祉センター

施設長  西谷 達也



本学会の主催者Dr.Sirintornは、以前、エスポアール病院を訪れた際、「きのこグループ」の先進的なケアに感銘を受けられました。その取り組みをタイ及びアジア各国に是非紹介したい、との氏の要請をうけ、タイで開催された『第14回アジア-パシフィック・アルツハイマー学会』に行ってきました。

 私の講演「The New Ere of Dementia Care in Asia:The Japanese Experience 」は、学会日程2日目の全体セッションで行われ、まさに特別待遇でした。

 講演では、我々「きのこグループ」の紹介に加え、日本における認知症ケアの現状について報告しました。以下に、その概要を紹介します。


日本における2つのタイプの認知症ケア


長寿大国の日本では、認知症の症例数も年々増加。認知症への関心は高まる一方です。日本における認知症ケアには2つのタイプ、入所型と在宅型があります。


入所型:長期に預かりケアするタイプで、代表が「病院」。主に随伴症状などが激しい方を緊急で扱い、医学管理が主体です。

 症状がある程度落ち着いた方を処遇できるのが、「老人保健施設」。制度的にはリハビリテーション特化型で、病院と在宅などのかけ橋の役割を担います。

 「老人ホーム」は様々な理由で、在宅で過ごせない高齢者の終の棲家で、最近は認知症の方も多く暮らしています。

 「ケアハウス」や「高齢者専用アパート」も、元々は高齢者専用の住まいですが、近年認知症の方も多くおられます。

 「グループホーム」は、認知症専門の小規模住宅で、8~9名の認知症高齢者が暮らしています。地域密着型で、今や日本の主流となっています。

 

在宅型:入所型ケアは制度が追い付いていないのが現状で、多くは在宅型へと移行しています現在、私が働いている施設もまさに在宅型。市から委託を受ける、いわゆる公設民営で、日本で最近増えているスタイルです。

 在宅型には、「デイサービス」、「ショートステイ」、「ホームヘルプサービス」などがあり、私の施設は、これらのサービスが全て受けられる「複合型施設」です。

 「デイサービス」は日中のみの預かり。「ショートステイ」は、在宅で暮らす方を1泊2日、1週間、長い人では2~3ヵ月、一時的に預かります。「ホームヘルプサービス」は、スタッフがお宅へ伺い、入浴や食事の介護を行います。


ケアにおいて重要なこと:環境・役割・人との関係


  ケアにおいて重要なこととは。わたしたちが到達した概念は「いかにして、あたりまえの暮らしを提供するか」。そのために大切な要素が次の3つです。


環境: 一口に「環境」と言っても多様な要素があり、一人ひとりにとって「居心地の良い場所」を提供しなければなりません。

 わたしたちの施設では、ユニットスペースだけでなく、男性だけの部屋や寝たきりの方の部屋も用意しています。飲食する場所とリハビリルームを分けメリハリをつけ、今自分が何をすべきかを環境から分かっていただくことも大切です。


役割: 生きる上において担う「役割」は、生きる証でもあります。家事など日常に則したことで役割を得る場合もあり、趣味やペットの世話などでそれを実感する場合もあります。自分で自分の役割を選択できる環境を整えることが大切で、認知症だからと言って、何もさせないのは最もいけないことです。

 当施設では、食事はバイキング形式を採用。自分で選ぶ、取る、食べる、片付けるという一連の役割を果たすことで、活動性と達成感が得られます。

 リハビリテーションも、さまざまなバリエーションを用意し、その人に合ったアクティビティを行うことで、自主性と持続性を養っています。 


:最も重要なのが「人」との関係。ケアワーカーは認知症の症状や問題となる行動も、他の加齢現象同様に自然なこととして、受け止める気持ちが必要です。

ケアのすべてにおいて、なぜそれを行うのかという意識や理念は重要で、ケアワーカーは常に考え、説明できなければなりません。それが、我々専門家としての存在意義であるという自覚です。

 特に高齢者の場合、コミュニケーションが困難になることがあります。認知症高齢者は、言葉でなく行動で自己表現を行うので、注意深く観察・洞察する必要があります。徘徊といった行動も、ケアスタッフへのメッセージとして捉えるべきでしょう。

 

明日からできる簡単なことに目を向けて


 人が人をみるのがケアの本質です。その基本理念は「どんな状況であろうと、人は人として、あたりまえに、幸せに暮らす権利を有し、人としての尊厳を守る必要がある」ということです。

それを念頭に置けば、「カーテンを付け替える」「照明を考える」「キッチンからおいしそうな食事の匂いや音がする」「食卓に花を飾る」「寝たきりで反応のない方にも”おはよう”と声かけをする」「マッサージをしながらスキンシップを図る」など、明日からでもできることが数多くあるのです。

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